「竹」から学ぶ、現代人が忘れがちな空(くう)の感覚

Release 2025.06.02 / Update 2025.06.27
予定や情報に追われて、気がつけば呼吸が浅くなっていること、ありませんか?
一見静かな竹林の中には、風を通しながらしなやかに生きる知恵が詰まっています。
中が空洞だからこそ折れず、響き、揺れながら立つ。
「竹」は、あなたの気持ちと身体に“余白”をつくるサポートになります。
「強さとは、しなやかであること」
「空であることが、すべてを通す」
古来より、日本人は竹に“生き方の智慧”を重ねてきました。
“満たすこと”ではなく、“空けておくこと”の美しさ。
今、竹の魅力とともに、そんな軽やかな強さに触れてみませんか。
INDEX
竹の神秘的な構造
空洞がもたらす、響きとしなやかさ
竹の幹は空洞です。
けれどその中には、風や音、光さえも通り抜けていく通路があり、しなやかさと強度を両立した奇跡的な構造になっています。
だからこそ、竹は、
- 風に逆らわず、身を委ねてなお立つ
- しなることで折れず、エネルギーを分散できる
- 音や香り、水さえも通す“媒介者”である
この構造は、まるで人の「心」や「魂」の在り方のようです。
私たちも、竹のように「魂を通す器」なのかもしれません。
竹の持つ、解毒と浄化力
竹炭、竹水、そして空気の再生
竹の力は、霊性だけではありません。
現代においては、デトックス植物としても注目されています。
- 竹炭:微細な孔による強力な吸着作用。空気清浄、水質浄化、腸内環境の改善などに。
- 竹酢液(ちくさくえき):竹炭を作る際に採取される蒸留液。スキンケア、虫除け、入浴剤として利用。
- 竹水:若竹から得られる清浄な水分。髪や肌の保湿、エネルギーのリセットに。
これらは、竹が持つ浄化と再生の力そのものを、私たちの暮らしに届けてくれます。
月と竹の「 天と地をつなぐ物語」
『竹取物語』は、日本最古の物語文学とされています。
その主人公・かぐや姫は、竹の中に現れ、月へと還っていく存在。
この神話的な構造は、竹が天(宇宙)と地(大地)をつなぐ通路であることを示しているのかもしれません。
- 地にしっかりと根を張りながら、空を貫き、天と呼応する存在。
- そして“空(くう)”を生きるものとして、音や光を通す導管。
竹は私たちに語ります。「あなたの内にも、天とつながる空間がある」と。
竹と出会う場所(宇都宮・若竹の杜)
宇都宮・若竹の杜で風と呼吸する
竹の叡智を身体で感じてみたいなら、ぜひ実際の竹林を歩いてみてください。
栃木県宇都宮市にある若山農場(若竹の杜)は、整えられた見事な竹林が広がる、美しい“音のない聖域”です。
歩くたびに葉が鳴り、足元に落ちた光と影が、まるで言葉のように語りかけてきます。
呼吸してみてください。
竹が風を通すように、あなたの中の詰まりも通り抜けていくのを感じるはずです。
他にも、「竹駒神社(宮城)」や「嵐山の竹林(京都)」など、竹と縁のある場所を訪ねてみるのも素敵ですね。
自然と調和する感覚が、確かに蘇ってくるでしょう。
若竹の杜 若山農場
https://www.wakayamafarm.com/
暮らしの中に「竹」のパワーを取り入れる
そんな竹のパワーを暮らしの中に取り入れる、一例をご紹介します。
竹炭を部屋に置く
竹炭を部屋に置くことで、空気の澱みが晴れ、呼吸が軽くなっていきます。
また、消臭効果や調湿効果もあります。
竹の器や箸を使う
竹の器や箸を使うことで、自然の手触りとリズムを取り戻すきっかけになるかもしれません。
竹の風鈴・音具を使う
竹の風鈴・音具を使ってみましょう。音の波が、空間のゆらぎを整えてくれます。
竹林の写真を飾る
お部屋に竹林の写真を飾るだけでも、視覚から空間が浄化されていくのを感じます。
竹は私たちに、空っぽであることの美しさを教えてくれる
忙しさに満たされた現代、わたしたちは「空であること」を怖れてしまいがちです。
でも、空っぽだからこそ、風が通る。
空っぽだからこそ、音が響く。
空っぽだからこそ、新しいものが入ってくる。
竹の教えとは、内なる空白を抱きしめる勇気。
そこから生まれる静けさこそが、魂の深呼吸なのです。
さいごに
次回は、冬の終わりを告げる力強い花、「梅」へ。
痛みとともにある再生、そして、たったひと粒が人を守るちから。
しょっぱくて、やさしい梅の魅力を、Euphorbiaの光で照らしていきます。